苦情の報告 事例インデックス : 過去の主な事例索引 私が保護者代表。必要な書類ももらっている。(2020年)

更新日:2023年09月25日


未成年の契約 親権者不在と同意書
契約形態 受注型企画旅行
申出人 男性:42歳
申込旅行 東京ディズニーランド2日間
旅行代金 約20,000円(希望金額)×15名
出発日 2019年6月

申出内容

私が経営する塾では、毎年6月、塾の子どもたちを連れて東京ディズニーランドに1泊2日で遊びに行きます。
昨年まで、大井町駅から舞浜駅までのJR乗車券と東京ディズニーランドの2デーパスポート、そして浦安のホテルを私が団体で購入していました。
旅行会社のパンフレットを見ていると、割安のプランがあったのでいろいろアレンジしてもらえば私の手間が省けるのではないかと旅行会社に問い合わせたところ、子供たちの年齢を聞かれたので小学生 と中学生が半々くらいと伝えました。
ところが旅行会社の窓口の人から未成年者参加の同意書というものを見せられて、オーダーメイド旅行の申込を断られました。
私が塾の代表で決して怪しいものではないし、私自身が保護者として引率します。それから塾生の父母に対して同意書のようなものも取ることはできるので、なんとか旅行に参加させてもらえませんか。

会社見解

弊社国内旅行の受注型企画旅行契約の旅行条件書には、未成年者の旅行参加について親権者からの同意書の提出か親権者のご同行をお願いしていますが、小学生や中学生の15歳未満のご参加は、父母または親権者の同行を条件とさせていただきたく存じますので、弊社で組立てる旅行にご参加されることはご遠慮くださいますようお願いいたします。

解決

手配旅行として、JR乗車券と浦安のホテルを手配すると提案したが、契約には至っていない。

解決の指針

オーガナイザーからの旅行申込の場合、旅行会社はその行程を受注型企画旅行として作成し、それぞれの旅行会社のマニュアルに則り旅行販売をしています。
この事案の場合も、旅行参加者が15歳未満でなければ受注型企画旅行契約(オーダーメイドによる旅行商品)を締結することは特段の問題はなく、単純に⑨20歳未満の未成年者であれば、親権者からの同意をもって契約は有効と考えられます。
ここで問題になるのは、「親権者の同行」という参加条件ですが、旅行会社が懸念しているのは、「万一事故等が発生した場合、旅行を企画・実施する立場としての責任」が問われないかということですが、この事案のように毎年同様の企画を塾で実施しており、都内から東京ディズニーランドまでの移動にはそれほどの時間がかかるわけではないので、適切な安全管理がなされれば問題ないのではないかと思われます。
塾の講師を「親権者代理とする父母からの委任状」を取ること、そして旅行会社が「親権者から直接同意書」をもらうことで、旅行会社が定めている「参加条件」を満たすと思われます。

One Word解説

オーガナイザーと契約責任者

旅行業を営む場合は旅行業登録が必要で、旅行業の登録を有する旅行会社以外は運送機関の予約や宿泊を手配し、代金を収受することはできません。オーガナイザー(団体の代表)である旅行会社以外の者が旅行者(団体構成員)を募り、旅行契約を結ぶことはできないので、募集や手配行為は旅行会社を通じてなされるべきものです。
旅行会社が企画する旅行に、オーガナイザーが代表者(契約責任者)として参加する場合は、旅行中もオーガナイザーが代表者となるので問題はありません。
オーガナイザーが旅行の取りまとめだけをして旅行には参加しない場合は、実際の旅行中の責任者を選定してもらい、オーガナイザーと旅行中の責任者双方が、契約書の締結、団体構成員の名簿入手、入金、そして変更や取消業務など、一連の事項に関する情報を共有してもらうことが大切です。

未成年者との契約

旅行会社のなかには、親など親権者からの「同意書」がないと、「旅行契約」そのものが成立しないと理解しているところもありますが、未成年者といえども「旅行契約」は成立するので、旅行参加は可能です。
ポイントは、「同意書もしくは親権者からの同意がないと、親権者から旅行契約の取消の申出があった場合は、民法で行為能力制限者と解されている未成年者においては、旅行契約そのものがなかったことになります」というもので、旅行会社は規定の取消料の請求ができません。そうした取消によるリスクを避けるのであれば、「親権者等からの同意」をもらっておく必要があります。
なお、民法の改正によって2022年4月から、18歳未満が「未成年」と定義され、ヨーロッパなどの一部の国と同様に行為能力の制限が緩和されます。

親権者等からの「同意書」の取得が望ましい理由

 1 未成年者が契約を結ぶときは、法定代理人(通常は親権者)の同意を得なければならない。
    同意を得ていなくても契約自体は成立する(民法第5条第1項)。
 2 未成年者を保護するために、未成年者本人及び親権者は親権者の同意を得ないで結んでしまった契約につき、
    原則として取消すことができる(民法第5条第2項)。
    逆に、親権者の同意を得て結んだ契約は取消すことはできない。
 3 取消された契約は初めから無効であったとみなされる(民法第121条)。

しかしながら、以下の場合は未成年者の取消権はなくなる(同意書の取得は不要)。
 4 未成年者が結婚しているまたは結婚していたことがある(民法第753条)
 5 未成年なのに成年だと虚偽の申出をしたとき(民法第21条)
 6 親権者が旅行代金を支払ったときや親権者が旅行に行くための費用として未成年者に旅行代金を渡したときは、
    旅行契約を結ぶにあたって、親権者の同意は不要なので、取消権はなくなる(民法第5条第3項)
 7 社会人の未成年者が自分で稼いだお金で旅行代金を支払ったとき(民法第6条)

上記3、4については、旅行会社が証明することは難しいことから、やはり同意書を取得しておいた方が無難。

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