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更新日:2023年09月26日
会社の出張で東京にいくことになったので電話で旅行会社にホテルの安いプランは無いかと問い合わせた。値段もロケーションもちょうどよいプランが見つかったので同僚と3名分を予約することとした。会社の経費処理の関係で、取り急ぎ旅行代金と振込先の口座番号だけを先にメールで送ってもらった。ところが、翌朝一番に電話が来て、旅行代金を間違って案内したから訂正したいといってきた。宿泊日カレンダーを見間違えたとのことで一人当たり4000円もアップするという。確かにまだ旅行代金は振り込んではいないが、会社の出張でもあり、今更金額が違うとは言えない。旅行代金を間違えるなどということは重大な過失であり「錯誤無効」には当たらない。
お客様には大変申し訳ないが、お申込金も含めて、ご旅行代金は一切頂いていないので旅行契約は成立していない。従ってこの代金ではご旅行はお受けできない。本来、電話で申込みを頂いた場合は、改めて当該ツアーのパンフレットや旅行条件書を郵送し、内容をご確認いただいた上で旅行代金をお支払いただいているが、今回は取り急ぎ必要ということで、メールで旅行代金と振込先のみお知らせした。もしこの間、お客様都合でお取り消しになったとしても、取消料は頂かないことになる。
お客様は単なる口頭だけでなく、メールでも確認していることであり、重大な過失があるので「錯誤無効」には当たらないと主張されたが、もともと契約自体が未成立だということでお断りをした。ただし、誤案内でご迷惑をおかけしたことは事実なので、そのことに対するお詫びとして、若干の旅行券をお渡しした。
今ケースは、幸いにも(?)旅行代金の収受前であるので、契約は未成立であり、錯誤無効かどうかの議論以前の問題である。したがって、誤った旅行代金で旅行を受ける義務は無いが、顧客の信用を失うことは間違いない。 一方、もし旅行代金の訂正前に顧客が旅行代金を振り込んでいたとしたらどうか?この場合には2つの問題がある。ひとつは旅行業法上の問題である。本来旅行業者は契約締結前に、取引条件の説明を行い、書面を交付することが義務付けられており、これを行わなかった場合には行政処分の対象となる可能性がある。この点は、取引条件説明書面を交付できなかった点につきやむを得ない事情があったもので、直ちに追完すれば許されるだろう。 二つ目は、旅行代金が振り込まれ契約が成立した場合に、錯誤無効が主張できるかという点である。上述のとおり、本来顧客には契約前にパンフレット等で取引条件が提示されるので、その中で正しい情報(旅行代金)が提示されていれば、あるいは顧客自身も提示金額が間違っているということを認識できたはずとの主張も可能だが、今回は顧客からの申し出に従い、旅行代金を先に書面(メール)で提示しており、顧客自身には「正しい金額」を知る手立てが無い。もともと旅行代金の誤案内という重大な過失もあり、錯誤無効の主張は難しく、誤った料金で引き受けざるを得ない事例だと思われる。
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