苦情の報告 事例インデックス : 過去の主な事例索引 「旅行証」使用の場合は、ビザが必要。
説明を受けていなかったから搭乗拒否に。
責任を追及する ! (2016年)

更新日:2023年10月03日


旅券 / 査証 / 出入国書類 旅券・査証
契約形態 募集型企画旅行
申出人 女性35歳
申込旅行 「サイパン4日間」旅行代金 209,000円×2名)
出発月 2016年4月

申出内容

中国籍の私は、出発時、航空会社のカウンターで搭乗拒否に遭ったため旅行に行けなかった。理由は、「旅行証」を使ってサイパンに渡航する場合は、ビザが必要だが、私はビザがなかったからだという。パンフレットの「旅の情報とご注意」の欄に、「・・有効な「旅券」をご用意ください。また渡航先によっては「旅券」に所定の残存有効期間が必要な場合もありますので、お申し込の販売店に確認してください」と書いてあったので、私の「旅券」は有効であること、また残存有効期間も問題ないか等についての確認を旅行会社にお願いした。この際に、旅行会社の依頼で私の「旅行証」の顔写真のページをFAXで旅行会社に提出した。その後、旅行会社からは「旅券の有効性」や「残存有効期間」のいずれも問題ないことも確認してもらった。旅行に参加できなかったのは、旅行会社の確認義務違反だ。旅行代金全額の返金と慰謝料、そして自宅から空港までの交通費全額の支払いを求める。

会社側の見解

当社では、お客様の氏名のローマ字のスペルとお客様所持の「旅券」の残存有効期間を確認させていただく目的で、お客様の「旅券」のコピーをFAXでいただきました。氏名スペル、残存とも問題がなかったので、その旨お客様に案内しました。今回、お客様が搭乗拒否に遭った理由は、お客様は「旅券」ではなくて「旅行証」を持参して渡航しようとし、「旅行証」でサイパンに渡航する場合は、ビザが必要なのにビザを取得していなかったからです。そもそも、「ビザ」を用意するのはお客様の責任で取得するものです。また、当社が「旅券」と「旅行証」の違いに気付かず、または気付いたとしてもサイパンに「旅行証」で渡航する場合には「ビザ」が必要だということを案内できなかったとしても、当社の過失は存在しないものと考えます。したがって、損害賠償の請求には応ずる義務はないものと考えます。

解決

お客様は、FAXを送ってきた際のFAX送付状には「旅券のコピーを送ります」と記載されており、その送付状とともに、「顔写真、発行年月日、氏名のスペル、有効期間、発行年月日、が記された部分のコピー」をお送りいただいた。また、たしかに送られたコピーを見ると、小さな字で「旅行証」と書かれていたが(中国の旅券の場合は「护照」と書かれています)。このため、当社では、お客様がお送りいただいたコピーは「旅券」ではないことに気付かず、また、渡航手続代行契約を結んでいたわけではなかったので、当社には過失はないものと考える。ましてや「旅行証」を持参してサイパンに渡航する場合は、「ビザ」が必要であることを知らせる義務もない。以上のことを粘り強く説明を繰り返す。ただ、今回は大変お気の毒なことなので、規定の取消料は収受するものの、その代わりにお一人25,000円のお見舞金を支払うことで解決となった。

解決の指針

旅行会社は、「渡航手続代行契約」を結ばない限り、渡航手続きに関する確認義務はなく、お客様自身が自分の責任で査証等要否の調査その取得等を行うのが原則です。しかし、旅券のコピーを事前にもらっていて、その記載を見て、たとえば一見明らかに「旅券」ではなく「旅行証」だと分かったときは、お客様としては一言、「ビザ」が必要だと案内してくれてもと思うでしょう。また、旅行会社の一員として、そのくらいの配慮はすることがプロというものでしょう。この感覚が、信義則に基づく確認・説明義務の根拠です。
問題は、一見明らかに「旅券」ではないことが分かり、帰化申請者が渡航する場合には「旅行証」が発行されることになることが、一般に旅行会社従業員に知れ渡ったたものではないとすれば、サイパンに渡航するときには、別途「ビザが必要だ」ということを確認し、説明する義務もないといえます。しかし、コピーを見れば「旅行証」という記載があり、「旅行証」をインターネットで検索すれば、お客様の渡航が可能かどうかの確認ができたのではないかとも考えます。旅行会社の従業員には、そうした「好奇心」を常に持ち合わせて欲しいものです。

補足

2016.8.12日現在の関係大使館・領事館の情報によれば、①在日中国籍の方が日本の出入国管理局に帰化申請をした場合には、在日中国大使館により、帰化申請人の所持する「旅券」は無効になります②この場合、在日中国大使館は、帰化申請人に対して、無効となった「旅券」の代わりに、「旅行証」を発行します(下記イラスト参照)③そして、その「旅行証」で帰化申請人は、日本を出国して海外に渡航できることになります④しかし、渡航先国によっては、「旅行証」を使って当該国に入国する場合には、「旅券」を使って当該国に入国する際には必要ない「ビザ」の取得を求めている国があります⑤サイパン(北マリアナ諸島)では、中国の「旅券」を所持する中国人が同国に入国するときには「ビザ」は不要です。しかし、中国の「旅行証」を所持する中国人の場合には「ビザ」が必要になります⑥中国の「旅券」と「旅行証」は、表紙の色が「旅券」の場合は赤茶色、「旅行証」の場合は紺色であり、写真の上に「旅券」の場合には「护照」との記載があり、「旅行証」の場合には「旅行証」との記載があります(日本人の旅行会社の従業員が送られてきたコピーだけで「旅券」か「旅行証」かを区別するのは容易ではありません)。

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