旅行業法関連・関係法令関連ガイドライン等、約款申請 他 1994年(平成6年): 共同企画、ユニット利用による主催旅行の募集方法についての注意喚起

更新日:2022年04月12日


1994年(平成6年):共同企画、ユニット利用による主催旅行の募集方法についての注意喚起

(JATA NEWS LETTER 1994年1月3日/17日合併号)

 最近、航空会社やユニット卸業者の主導により、複数の旅行会社が同一内容、同一旅行代金の主催旅行を共同で広告募集をしたり、共通のパンフレットで募集する例が見受けられます。これらの広告やパンフレットで募集されている旅行について、JATA法制委員会において旅行業法上、独占禁止法上の疑問点が提起され、関係省庁に確認したところ、これらの法律の趣旨から見て、検討すべき点があるとの結論になりました。今後の共同企画等の取扱については、下記事項を参考のうえ、事務処理に遺漏のないようにしてください。

1. 共同企画旅行について
[事 例]
複数の旅行会社が「共同企画」として、一つの主催旅行を募集している。募集企画では、参加旅行会社のそれぞれが「主催旅行業者」として表示されており、旅行者からの申し込みを受けた旅行会社が、当該旅行者との間で「主催旅行業者」として旅行契約を締結することとしている。

[問題点]
共同企画旅行は、共同企画の参加旅行会社がコースごとに幹事会社をきめることなどして、旅行手配や旅程管理等の「主催旅行業者」としての業務をおこなっており、幹事会社以外の旅行会社は実態として「主催旅行業者」としての業務(参考―1参照)を行える状態にないと思われる。

[処理方法]
主催旅行を共同で企画する場合は、実際に手配、旅程管理等を行う会社を「主催旅行業者」として旅行を実施し、その他の企画参加旅行会社は、自社が手配、旅程管理等を行わないコースについては、「受託旅行業者」として受託販売する。
複数の旅行業者が話し合いにより、例えば、コースごと又は出発ごとに分担して主催旅行を実施する場合、その内容によっては独占禁止法上問題点が生じるおそれがあるので、疑問がある場合は事前に公正取引委員会の相談窓口に相談するのが望ましい。

2. ユニットを利用した旅行の販売について
[事 例]
ユニット卸業者等(航空会社、一般旅行業者、ランドオペレーターなど)があらかじめ旅行内容、旅行代金を印刷したパンフレットを作成し、これを買い取った旅行会社(以下「リテーラー」という)が、「主催旅行業者」欄に軽印刷やゴム印等で自社名を記載して自社の主催旅行の募集を行っている。パンフレットには、航空会社の「指定旅行会社による共同運行」である旨表示しているものもある。

[問題点]
統一パンフレットによるユニット販売では、事実上の企画、手配、価格決定がユニット卸業者により行われており、また、旅程管理業務もユニット業者が自らの判断で行うなどしている。リテーラーは実態としてユニット卸業者が作った旅行に自社の名称を「主催旅行業者」として冠した形になっており、「主催旅行業者」として主体的にそれらを実施、管理できる状態にないと思われる。
また、ユニット卸業者が旅行代金の額を決定し、その価格でリテーラーが販売している場合には、本来主催旅行業者であるリテーラーの行うべき価格決定について、ユニット業者がリテーラーを不当に拘束していると判断されるおそれがある。

[処理方法]
ユニットを利用した場合にあっては、ユニットを購入した旅行会社が主体的に旅行内容を決定し、手配、旅程管理等について主体的に実施、管理する体制を整えてある場合に限り、自己の主催旅行として実施する。(この場合、統一パンフレットのようなものは作成されないことになる)。
それによらない場合は、ユニット卸業者の主催旅行として実施し、他の旅行会社は「受託旅行業者」として当該旅行を販売する。

[参考]
1.[主催旅行業者]の責任について(共同企画、ユニット利用の観点から)
「主催旅行業者」は、本来旅行計画の内容を決定し、手配、旅程管理を等について主体的にそれらの業務を実施し、かつそれらを適切に管理する責任があります。
手配等をいわゆるランドオペレーターなどの手配代行者に代行させたり、また、ユニットを利用する場合でも、これらの業務の主体は「主催旅行業者」でなければなりません。前記の事例では、実際に主催旅行の企画、手配等の運営を行っていない者が「主催旅行業者」として旅行者と旅行契約を締結しており、苦情への対応、事故発生時の対応等に際して責任関係が不明瞭になるなどの問題点があります。
2.独占禁止法違反に関する留意点
(1)共同企画はコストの低減、集客率の向上、危険負担の分散など、旅行会社にとって役立つと同時に、これらによる利益が消費者に還元されれば消費者にとっても旅行代金の低廉化、催行率の向上などのメリットがあります。しかし、本来自由な競争の中で企画すべきところ、複数の旅行会社が話し合い、コースや出発日ごとに分担するなどして募集した結果、事実上これらの競争が行われないことになれば、独占禁止法違反になることがあります。
(2)業者間の話し合いによる共同行為がカルテルとして独占禁止法に違反するか否かは、公正取引委員会が具体的な事案について、話し合いに至る経緯、内容を詳細に調査の上総合的に判断されるが、一般的に次のようなことが言われているので、ご留意下さい。

イ.違法性の認定にあたっては、市場における占有状況が考慮されるが、「市場」の捉え方が個々の事案ごとに実態をみて判断されるので、一定の時期、地域における数量的なマーケットシェアで固定的に捉えることができない。
ロ.表示上の価格が統一されていれば、実際の取引にあたって、各業者(上記事例では、個々の主催旅行業者)の判断で値引きすることが容認されていても、違反と認定されることがある。
ハ.必ずしも、業者間でいわゆる「横並び」で価格についての決定が行われていなくても、特定の者(上記事例ではユニット卸業者)を通じて共通の意思が形成されていれば違反とされることがある。