苦情の報告 事例インデックス : 過去の主な事例索引 お店でパスポートを確認してもらったのに、
どうして出発できないの ? (2019年)

更新日:2023年09月26日


旅券 / 査証 / 出入国書類 旅券/査証

契約形態 募集型企画旅行
申出人 女性:39歳
申込旅行 グアム4日間
旅行代金 169,000円×6名
出発日 2019年8月

申出内容

グアム旅行4日間に家族6人で申込みました。関西国際空港に着いて、航空会社のカウンターでパスポートをだしたところ、祖父のパスポートの有効期限が切れているので飛行機には乗せられないと言われました。いったいどうなっているのですか。
旅行を申込んだお店でパスポートの確認をしてもらった時、なにも言われていません。祖父だけ残して旅行に行くことはできないので、私たちもキャンセルします。旅行代金だけ返してもらったってまったく意味がありません。誠意ある返事を待っています。

会社見解

ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません。ご利用される航空会社には、予約時にお客様のパスポートデータを伝える必要がありましたことから提示をお願いいたしました。その際、「新規申請もしくは期限切れのため更新予定」ということでしたが、後日、再度ご来店いただいた際、別の社員が確認を怠ったものでございます。ご提示いただいたパスポートが期限切れであったことで、ご旅行に行けなかったことは誠に申し訳なく、衷心よりお詫び申し上げます。

解決!

おじい様だけの予約に限定し交渉したものの、折り合いはつかないので、家族6名分の旅行代金全額にお詫び金をプラスして提示し、ケースクローズ。

解決の指針

ほとんどの旅行会社の募集パンフレットのなかに、その渡航先における②旅券の有効期限や査証取得の案内が書かれています。旅行契約の契約形態のひとつとして渡航手続代行契約があるので、募集型企画旅行の内容のなかに、旅券や査証の取得案内義務が含まれるというものではありません。
しかしながら、実務において旅行者からの問い合わせや確認があった場合は適切な案内が必要となり、トラブル防止の観点からも、提示された旅券が期限切れであったのならば、その旨を適切に指摘しなければなりません。
この事案では、旅券の有効期限が失効していたのはおじい様1名だけであり、その他の家族は出発できるので、家族全員の旅行代金を③損害賠償の対象として考えるべきか微妙です。また、「期限切れのため更新予定」であったことからすれば、旅行者が更新手続きを怠っていたともいえるので、損害全額を旅行会社が負担すべき事案ではなく、旅行者側の過失を相殺してよいと思われます。
昨今、旅券情報の報告を義務付ける航空会社が増え、④接客時に個人データも含めて情報を確認しなければならないので、旅行者の信頼を裏切ること(信義則違反)がないよう再発防止に向け、履歴を確実に残し、他のスタッフが対応しても経過内容がわかるようにすることが大切です。

   

One Word 解説

② 旅券・査証の「案内義務」

海外企画旅行申込にあたり、旅行会社は旅行者入国の際必要とされる旅券(パスポート)残存有効期間や査証(ビザ)について説明しなければなりません。2005年4月に施行された改正旅行業法第12条の4に基づく契約規則による広告基準では、「海外旅行によっては、渡航先国が入国者に査証の取得を要求している場合はその旨を、渡航先国が旅券に一定の残存有効期間を要求している場合はその旨及び入国時において必要とされる残存有効期間の長さを、それぞれ記載する」と通達されています。

③ 「財産的損害」と「精神的損害」の考え方

損害賠償には大きく分けて2つの「損害」があります。
ひとつは旅行者が被る実際の不利益である「財産的損害」、そしてもうひとつは精神的な不利益のことで「精神的損害」(俗に慰謝料というのは精神的損害に対する賠償をいいます)です。
「損害」の範囲は「通常損害」と「特別損害」に分けられます。「通常損害」とは旅行会社の過失により、通常生じると予想される損害をいいます。旅行会社に過失のあるときは、「通常損害」の範囲の財産的損害と精神的損害を賠償しなければなりません。「特別損害」とは、旅行者の特別な事情によって生じた損害をいいます。「特別損害」については、旅行会社が旅行者側の特別な事情を知っていたときに限り、賠償の範囲になります。

④ 信義則と「旅券・査証の確認義務」

旅行者は、旅行会社のスタッフは旅行に関してはプロフェッショナルであり旅行手続きは任せておけば大丈夫だという信頼の下、旅行契約を申込んでいます。旅券や査証の知識についても同様で、旅行会社が必要な事項を確認するのが当然で、出国する際に航空会社のカウンターで旅券の残存期間不足や無査証が発覚して渡航できなかった責任は、信頼を裏切る行為の代償として旅行会社に転嫁される危険があります(もちろん、旅行者にも確認していない落ち度があるので、全責任を負うことはありません)。こうした旅行者からの事実上の信頼に応えるべきという観点から、法律的にも信義則上の義務として確認が認められる場合があります。

一般的には、旅行会社は上記の「案内義務」は負っているものの、その「確認義務」までを課されるものではありませんが、窓口などにおいて旅行者から旅券やコピーを渡されて確認を求められたときは、トラブル防止の観点から、名前のスペルを確認するだけではなく、同ページの残存有効期間や生年月日そして国籍などを識別し、旅行者の渡航に関する事項をチェックする習慣を旅行会社のスタッフは身につけるべきでしょう。

●渡航手続代行契約の定義●
渡航手続代行契約第3条「渡航手続代行契約」とは、当社が渡航手続の代行に対する旅行業務取扱料金を収受することを約して、旅行者の委託により、次に掲げる業務を行うことを引き受ける契約をいいます。

● 旅券、査証、再入国許可及び各種証明書の取得に関する手続
● 出入国手続書類の作成
● その他前各号に関する業務

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